神前式とは?主な特徴や起源、注意事項などを知ろう
神前式と聞いてどのような挙式スタイルをイメージされますか?趣がある神社の佇まいや和装の花嫁、雅楽器が奏でる美しい音色などを想像する方も多くいらっしゃることでしょう。
神前式には厳かな雰囲気を感じる神聖な場所、そして日本らしい衣装や演出など独自の特徴がたくさんあります。神前式の主な特徴に加えて、そもそもの起源や慣習、注意事項について確認して自分たちや親族の好みに合った挙式スタイルかどうか知ることが重要です。
基本を知りたい!神前式の主な特徴とは?
神前式ならではの魅力は、随所にあふれています。以下、代表的な特徴を5つご紹介していきましょう。
◆日本の伝統的な挙式スタイル
神前式は、神にふたりの結婚を報告するという日本古来の挙式スタイルです。会場によっては、雅楽や巫女の舞を施す場合もあります。
◆神社や神殿などの神前で執り行われる
神社や、ホテル・結婚式場内に設けられた神殿などの祭祀施設には、神が祀られています。一般的には、夫婦円満の神様として知られる天照大御神(あまてらすおおみかみ)の父母、伊邪那岐(いざなぎ)および伊邪那美(いざなみ)であることが多いようです。新郎新婦は、挙式会場に祀られている神の前で儀式を執り行い、夫婦となるための誓いをたてます。
◆厳粛な雰囲気
式がおこなわれている間、私語などは厳禁とされ、会場は厳粛で清々しい雰囲気に包まれます。神社などの歴史ある建物や手入れが行き届いた日本庭園などの付属施設も、格式高い雰囲気を醸し出しています。
◆「結婚」=「家と家が結びつくこと」
神前式では、結婚する新郎新婦だけでなく、家と家のつながりを重視する要素が儀式の中に盛り込まれています。例えば、盃を重ねることにより、両家の固い絆を表す「親族固めの盃(しんぞくかためのはい)」などがあります。
◆儀式を通して夫婦の絆を深める
儀式の中で決められた所作や誓いなどを、新郎新婦が協力しておこなうことにより、改めて夫婦となる絆を確認できる点も神前式ならではの特徴のひとつです。
神前式の起源とは?現在の挙式スタイルのはじまりと原型
神前式といえば、「伝統的」や「日本古来」といった形容詞で表現されることが多いのも事実。実際、その起源は、室町時代におこなわれていた武家の結婚式にまで遡ります。武家の結婚式は、「合杯の礼」を執り行うシンプルな儀式(陰の式)と、その3日後に「親族固めの杯」を交わす華やかな儀式(陽の式)の二部構成となっていました。陰の式では、参列者は新郎・新婦のほか、介添人や式を執り行う関係者のみに限られ、新婦は白無地の着物を身に着けていたそうです。一方、陽の式になると一転して、新婦は艶やかな色物の着物に身を包むのが慣例だったといわれています。当時は、「床の間」がある自宅の座敷で式をおこなうのが一般的で、その挙式スタイルは公家や大名から一般の人々にまで浸透し、明治時代になるまで続いたそうです。なお、床の間には、天照大御神や大国主、伊邪那岐・伊邪那美の二神の名前を記した掛け軸をかけ、酒などの供え物がなされていたといわれています。
1900年には、皇太子(後の大正天皇)のご成婚が、天照大御神を祀る皇居の賢所にておこなわれ、現在のような神社の神前でおこなう挙式スタイルのきっかけとなりました。第二次世界大戦後には、一般市民の間でも神前で挙式を執り行う機運が高まり、急速に神前式が普及したといわれています。
参列者はどうする?神前式をおこなう際の注意点まとめ
神前式をすると決める時点から挙式前日までに、ぜひ確認しておきたい事項をまとめて紹介します。後々になって慌てなくてもよいように、心積もりをしておきましょう。
◆会場によっては、参列者が親族に限られる場合もある
神前式をする会場は、神社やホテル、結婚式場などから希望に合わせて選ぶことが可能です。ただし、中には、収容スペースの都合で参列者の人数が限定され、参列できるのは親族のみとするところもあるようですので、慎重に選びましょう。親族以外の友人や同僚などを式に招きたい場合には、早めの段階で会場側にしっかりと確認しておく必要があります。
◆幼い子どもや高齢の親族などへの配慮を忘れずに
神前式の最中には、参列者が揃って、起立や着席、礼などの所作をおこなうタイミングも多く、高齢の人や幼い子どもにとっては厳しい環境となる可能性があります。参列者の中に介助等が必要な人がいる場合には、あらかじめ神前式の会場スタッフにその旨を伝えておけば、いざというときも安心です。車いすの利用が必要な参列者がいる場合には、通路が十分に確保できるかどうか、確認しておきましょう。皆が気持ちよく式を進行できるよう、新郎新婦による事前の心配りや配慮は重要となってきます。