周りの人たちが喜んでくれるのが一番の幸せ。ボランティアでつながった絆で作りあげた結婚式
今回ご登場いただくのは、東日本大震災の被災地である宮城県石巻市の海に浮かぶ島「金華山」にある黄金山神社で結婚式を行った加賀谷夫妻。加賀谷さんと奥さんのお二人にご登場いただきました!さまざまな制約の中で執り行われた式は、周りの人たちの幸せを願うお二人だからこそできたものでした。
- PROFILE
- 加賀谷さんクリエイター/結婚時の年齢:33歳
ささやかでも復興の助けになるかもしれない。神主さんと一緒にセルフプランニングで進めた結婚準備
ボランティア活動を行っていた「金華山」での結婚式ということでしたが、なぜこの地で結婚式を行おうと思ったんですか?
加賀谷さん:はじめは普通に、結婚式場を探したんです。2人とも自然が好きだったので、“自然が多い場所”という条件で検討していたのですが、縁もゆかりもない場所で結婚式をすることに違和感を感じるようになったんです。
奥さん:インターネットで探したり、実際に式場見学にも行きましたが、自然の空間で挙げるとなるとキャンプ場や公園しかなくて。トイレとか、ある程度設備が整っていないとゲストが大変だと思ったので、すごく悩みました。
加賀谷さん:そのうち、結婚式専門の施設でなくても自分たちの大切な人が集まってくれるだけで十分だと思うようになりました。 そして、僕たちが毎月ボランティアに行っている金華山で式をすれば、復興のささやかな助けになるのではないかと思い、神主さんに相談してみたんです。
復旧作業中の場所、しかも海に浮かぶ島の神社で、結婚式をするとなると準備は大変ではなかったですか?
加賀谷さん:海の状況によって、当日島に渡れなかった場合の代わりの策を用意したり、観光やご祈祷で来島される一般の方に迷惑をかけないよう、神主さんとひとつずつ確認しながら進めていきました。
奥さん:ゲストは、家族とボランティアメンバー、地元石巻市の方々をご招待することにしたのですが、実家も遠方だし、海外の親戚もいたので、それぞれの飛行機の時間や新幹線の時間をひとりずつ確認して、みんなで同じ船に乗れるようにするのが大変でした。
加賀谷さん:招待状も悩みましたね。簡単に来られる場所じゃないので返信用はがきにはせず、来れる方だけご連絡ください、という形をとって。
黄金山神社で、14年ぶりとなる挙式披露宴を開催!全員の思いがひとつになって完成した特別な一日
一般的な結婚式とは違うお悩みが多いですね!黄金山神社での結婚式は、14年ぶりとのことですが?
加賀谷さん:黄金山神社での挙式は14年ぶりだそうで、震災後は初なんですが、式のあとの直会(披露宴)も行う結婚式は神社としても初めてだったそうです。
大部屋を披露宴会場として直会を開催!
加賀谷さん:黄金山神社は昔から、神社に宿泊してご祈祷する参籠(おこもり)という風習があったんです。なので、食堂やお風呂、大部屋など、披露宴を行うための設備は一般的な神社より整ってはいましたが、神主さんや地元の方の協力がなければ、本当に実現できなかったと思います。
着付けやメイクは、ボランティアで親しくなった地元の方にご紹介いただいたそう。
ボランティアを通して知り合ったメンバーや地元の方々と。
皆さん素敵な笑顔ですね!披露宴はどのようなプログラムで進めたのですか?
奥さん:金華山に来るまでの交通費でお金がかかっているので、ご祝儀等の気を遣わないでほしいと思い、会費制にしました。
加賀谷さん:余興なども、ゲストに負担がかかると思ったのでお願いせず、歓談の時間を多くとれるようシンプルな会にしました。
奥さん:帰りの船の時間に間に合うようにしなくてはいけなかったので、もともと盛り込めなかったのですが、ふたりともシンプルな結婚式を好んでいたので、自分たち含め数人の挨拶のみとしました。
加賀谷さんは、この日のために用意した歌を披露。
加賀谷さん:僕が自分で歌を披露したんですが、そしたら、親戚も歌を歌ってくれたり、神主さんも雅楽を演奏してくれたんです!アドリブになった部分もありましたが、それぞれの演奏の流れは本物の繋がりを感じました。
加賀谷さんのお父様が事前に用意していた日本酒を、金華山の杯でみんな飲んだりもしたそう。
奥さん:結果的に盛りだくさんだったよね(笑)
予想外のプログラムがたくさんあったんですね!なかでも印象に残っている出来事はありますか?
加賀谷さん:当日の料理は、普段ボランティアでお世話になっている黄金山神社の調理場の方々に頼みました。限られた人数で様々な制約がある中、快く引き受けてくれて。 ボランティアのときとは違う刺し盛りや懐石料理には感動しました!結婚式を機に、より一層仲良くなれた気がしますね。
奥さん:巫女さんが舞を披露してくれたり、友達の結婚式でも見たことがないスペシャルな演出に感動しました。島の方たちがお見送りのときまで、全力でもてなしてくれているのが伝わりました。
加賀谷さん:親族一同が島を離れるとき、神主さんたちが船着き場まで降りてきて、色とりどりのテープを持たせてくれて。金華山側からの嬉しいサプライズや、心遣いが本当にたくさんありました。
「風にふわふわと揺れて、すごくきれいでした。」
「楽しい式にしたい!」というみんなの思いが伝わってきた。かかわってくれたすべての人に感謝!
結婚式を挙げてみて、感想はいかがですか?
加賀谷さん:金華山の歴史は人間一人の一生より、とてもとても長いものです。そんな歴史深い場所で式挙げられた事は、不思議な縁で結ばれていたからだと思います。 私たちには、この金華山が結婚式に最適な場所となりましたが、これから結婚式を行う方々には、ボランティアに関係なくとも、ぜひ何か他の人のためや、恩返しになる事がしたいという気持ちを大切にしてほしいなと思います。自分が今まで生きてきた道筋になった場所を選ぶことも、素敵な結婚式を作る秘訣じゃないかな。
奥さん:わたしもすごく楽しかったです。式や披露宴の時間自体はあっという間でしたが、本当に周りの人のおかげだし、主人のおかげもあって幸せな時間を過ごせました。
常にゲストや周りの方たちのことを一番に考えていた加賀谷夫妻。人と人の絆に感謝し、他人を思う気持ちが強いお二人だからこそ、実現できた結婚式だなあと強く感じました。ボランティアで生まれた絆の強さに、よりいっそう感動する結婚式エピソードでした! 加賀谷ご夫妻、本当にありがとうございました!
編集部/Yua
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本記事は、2016年09月29日公開時点の情報です。情報の利用並びにその情報に基づく判断は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮したうえで行っていただくようお願いいたします。