【結婚式が決まった新郎さんに】必見!最新版タキシードの基礎知識
THE GENTS, Asteir ブランドプロデューサーの室 直樹です。
さて、最近結婚が正式に決まった方もいらっしゃるかと思います
(おめでとうございます! ^ ^)
本日はそんな「プレ花婿さん」に向けた記事をポスト。
お葬式ではブラックスーツにブラックのネクタイというのは常識ですが、結婚式となると「これ着なさい、あれはダメよ」と様々な情報がネット上に飛び交い「いったいどうすりゃいいんだ」とわからなくなることもしばしば・・。
私達もフォーマルウェアまとめサイトやウェブマガジンなどで色々見かけますが、なんせ情報が古い・・・そして間違っている。古い情報や間違った情報がシェア、拡散されているのには苦々しい気持ちすら感じます。
というわけで今回は私が、「最新版」かつ「正しい」フォーマルウェアのイロハを伝授します。
はじめに:フォーマルの歴史は守りつつも、進化を受け入れるべし
タキシードの解説に行く前に、まずフォーマルウェアに関する考え方を学びましょう。 フォーマルウェアは近世ヨーロッパの貴族の衣装に端を発し、古い歴史があります。現在ではフォーマル先進国である欧米諸国がルールブックとなっており、彼らの伝統を重んじることが非常に重要です。 ↑の写真は最近アメリカで行われた式での一枚。日本だと黒のネクタイはNGと言いふらしている人がいますが、フォーマルウェア先進国のアメリカではブラックネクタイは◎。フォーマルウェアのルールブックは基本欧米のものが正しいです。
一方でファッションが進化するようにフォーマルウェアも進化しています。進化の源泉になるのは、例えばセレブリティだったり著名人だったり、ファッション雑誌等のメディアだったり。こういった人達が新しいフォーマルウェアの新しいルールを作っていきます。 変化を「歴史軽視」と騒いでこれを無視するのではなく、積極的に取り入れてみたらよいと自分は思っています。 東京・青山でこの仕事をしていれば様々なトレンドを感じることがありますが、セレブの着る衣装などのインスピレーションは大事にしています。
結婚式ではタキシードの着用率がダントツ
2015年の最新データによれば、2014年タキシードを着用した人が第一位で88.7%。08年は69.5%でしたから約19%もタキシードを着る方が増えているということです。 ちなみによく「結婚式・衣装」を検索すると出てくる”フロックコート”や”燕尾服”を着用した人はそれぞれ6.6%、3.3%とごくわずか。昔ながらの結婚式の正装と銘打っている割にはみんな着ていないという事実(笑) よって、もしレンタル屋さんにこういうのばかり並んでいたら確実に「古くさい衣装屋」であると言えます。 そういった世の中の需要からTHE GENTSではタキシードのみをオススメしています。
【最新版&正しい】タキシードの定義&その特徴
①基本カラーは黒、白、ネイビーの無地だが、その他の色を使用するのもファッションタキシードとして最近は認知されている。
黒でいえば、生地は通常のスーツよりも濃い黒を使う。タキシードクロスと呼ばれる専用生地もある。
②襟(えり)には拝絹と呼ばれるシルク生地のツヤツヤした素材を使う。ここはシルクがベストだがキュプラやポリエステルで代用されることもある。
襟の型はピークドラペルと呼ばれるデザイン(↑)か、ヘチマのような形のショールカラーの2択。
③ボタンはくるみボタンを使う。このボタンはスーツ(本体)の生地でボタンを"包んだボタン"。(ちなみにオーダーでタキシードを作る場合にはこのボタンは毎回手作りするが、リアルに結構大変・・・)
ボタンの数は少ないほうがよりフォーマルとされているため、タキシードで最も理想なのは一つボタンと考えられている。
④パンツには側章と呼ばれるラインが入る。このラインの素材は、襟で使用されたシルク、キュプラ、ポリエステルなどのツヤツヤの素材。
この写真のパンツはベルトを通すループがあるが、実際タキシードにはベルトループは付けず、ベルトレスかサスペンダーを付けるのが主流。
⑤ネクタイは蝶ネクタイを結ぶ。これはタキシードのルールとして一番有名でしょう。
⑦シャツにはカフスボタンをつける。あくまで正式なタキシードの正装のルールではありますが、ここは通常のボタンでも問題ない(省略可能)です。
ちなみに結婚式では白蝶貝の白しかダメ!!と書いているウェブサイトもありますが、黒のオニキスなどでも全然OKですので・・。
⑧シャツはヒダ入りのものを着用する。こちらも省略可能ではありますが、ヒダ、ドレープ入りのシャツは大変エレガントに見えるのでオススメ。
⑨ジャケットのポケットにフラップ(蓋)を付けない。(写真は通常のフラップ付き)
フラップはなんのために付けるのかご存じですか?これは乗馬などで砂埃が入らないようにするため。タキシードを着るパーティーでは砂埃はおきないので要りません(笑)
⑩スーツの上着の後ろにベント(切れ目)は入れない。(写真はベント有り)
ベントも乗馬や椅子の座り立ちの動作をしやすくするためのもの。激しく動くことがないパーティーでは切れ目が無くてもいいんですね。
【重要】全部満たさないとタキシードではない、ということはない。
ここで注意すべき点が「これらを全部満たさないとタキシードとは言えない」というわけでは決してありません。 例えば「パンツに側章が無いからタキシードじゃない」というわけでもないし、「くるみボタンじゃないからタキシードじゃない」というわけでもありません。 タキシードの正装の定義は上記の①~⑩ですが、これらはあくまでも歴史的な解釈が中心です。現代のファッションのトレンドなどに応じて一部を変えたりすることは問題無いと自分は考えています。 あくまでタキシード(礼服)の条件の一つに上記があるという解釈でいてください。
レンタル時代からじわじわと「オーダーメイド時代」に移行中
ブライダル業界のデータによれば、新郎の95%近くがレンタルを選択していますが、タキシードは本来テーラーがその人のためだけにお仕立てしてきたもの。ベルトレスというのはベルト(調整機能)がなくてもその人のためだけに作られたものだからパンツが落ちるはずない、という前提に作られています。 外国の方はほぼ全員が「自分のタキシード」を持っていてびっくりしたと言う話は良く聞きますが、日本でもじわじわとこの流れが始まっています。
タキシードは今や昼も夜もOK
よく結婚式のサイトに書かれているのがタキシードは夜間の準礼服であるから夜のみ着用する。というもの。 そんな文言をあざ笑うかのように、海外ドラマやパーティーでセレブが昼のパーティーでガンガン着用しているのが印象的です。これがタキシードの進化です。 ちなみにタキシードのことを通称ブラックタイと呼び、招待状などに書かれていますが、「タキシード着てきてね」という意味です。ブラックのネクタイ?ではありませんので注意(笑)
タキシードの付属品のアリ or ナシ?
タキシードといえばツヤツヤした襟の拝絹、蝶ネクタイ、そして腹巻きのようなカマーバンドをイメージする方も多いようです。現在でも先の2つはルールとして存在していますが、最後のカマーバンドは省略が可能なアイテムとなっています。 元々コインを腹に忍ばせておく、カードを挟むなどの用途があったようですが、現代ではあまり重要視されておらず、インターナショナルファッション誌 GQでは「ダサい」と書かれていました(笑) けれどカマーバンド巻いているからダメというわけではないです。かのデザイナー MARC JACOBSも先日のNYFWで巻いてましたから。
■おすすめコンテンツ
本記事は、2015年08月25日公開時点の情報です。情報の利用並びにその情報に基づく判断は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮したうえで行っていただくようお願いいたします。