【ファッションのプロによる連載企画】第三回 装いを格上げする靴の選び方

こんにちは、フォルツァスタイルの干場義雅です。前回は、「レストランウェディングのお洒落術」と題し、少しカジュアル感のあるジャケットスタイルをご紹介しました。

季節や場所、人、時間(TPPO=Time・Place・People・Occasion)などを事前にきちんと把握することが大切とお話させていただきましたが、基本的な考え方は靴選びについても同じです。

今回は日本の格式あるホテル、海外挙式、披露宴だけのレストランウェディング、昼、夜など、シーンや時間帯に応じたウェディングスタイルの足元についてのお話です。男性のフォーマルの嗜みとして知っておくべき靴の選び方をご紹介します。

2014.11.27 更新
ストレートチップ/エドワードグリーン
出典:大人のためのウェディングスタイル 第3回 装いを格上げする靴の選び方  | FORZA STYLE“フ...

ストレートチップ/エドワードグリーン

■まず手に入れたいのは、フォーマルスタイルの基本であるストレートチップ

昼間のウェディング用には、まずはストレートチップを持っているといいでしょう。場所を選ばず、また普段のスーツスタイルにも履けるので便利なのですが、実は知っておくべきセレクトポイントがあります。それは甲の部分が外羽根式か内羽根式かということ。 ヨーロッパの歴史から紐解くと……。外羽根式は羽根自体が全開するので着脱しやすく、狩猟や労働のために多く使われていたものとされています。対する内羽根式は、フィット感は多少劣るものの、その上品な見た目から、フォーマルの場や室内での執務用の一足として選ばれていたとされています。 シンプルなストレートチップゆえにこだわりたい羽根の美学。フォーマルシーンで際立つ靴は、歴史も重んじて選んでこそ品格のあるスタイルが誕生するのです。 素材はもちろんボックスカーフを選んで。トウの形はエレガントなエッグトウを。ビジネススタイルにもウェディングスタイルにも合わせられるので、汎用性の高さはピカイチ。だからこそ、良いものを買って長く履いてみてはいかがでしょうか。

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ダブルモンクストラップシューズ/エンツォ・ボナフェ
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ダブルモンクストラップシューズ/エンツォ・ボナフェ

■カジュアルスタイルには、渋みが光るダブルモンクストラップ

昼間の少しカジュアルなレストランウェディングシーンなら、スエードのダブルモンクストラップという選択もありです。正式な場所には不向きですが、スーツスタイルでもほどよくカジュアルダウンできるので、持っていると意外と重宝するのでお勧めです。 スエードというと茶系を持っている方が多いですが、そもそも茶という色自体はカントリーサイドを連想させるものなので、ウェディングスタイルなら黒を選ぶのが正解。黒は都会的な印象があり、イギリスでも昼間好んで着用されています。 さらにスエードはきちんと感とカジュアル感のどちらも兼ね備えているので、グレーのフランネルパンツやサキソニーパンツなどとも好相性。ジャケットスタイルにも似合う一足です。

エナメルシューズ/グッチ
出典:大人のためのウェディングスタイル 第3回 装いを格上げする靴の選び方  | FORZA STYLE“フ...

エナメルシューズ/グッチ

■夜のライトにキラリと輝くエナメルシューズ

格式あるホテルでの、夜の正式なフォーマルパーティではタキシードが必要とされます。いわゆるブラックタイ着用というドレスコード。タキシードの生地は基本マットな黒ですが、パンツの両側にある側章やピークドラペル、カマーバンドや蝶ネクタイにはサテンなどが使われ光沢があります。これは室内の光で微妙な華やかさを生むようにデザインされています。 となると、当然足元にも光沢が必要。エナメルのシューズを履くことで派手過ぎずに男性としての品格、華やかさを醸し出すことができ、ヨーロッパでは夜のシーンに一番似合う靴とされています。昼のシーンで履く人もいますが、主張し過ぎて派手な印象になってしまうので控えましょう。

シューズ/ブルーノ・マリ
出典:大人のためのウェディングスタイル 第3回 装いを格上げする靴の選び方  | FORZA STYLE“フ...

シューズ/ブルーノ・マリ

■エレガントで余裕のある男性を装うなら、上品な輝きを放つスワロフスキー付きで

夜のシーンでもブラックタイほど正式な場でなければ、少し遊び心のある靴を選んでみるのも手です。例えばこんな一足はいかがでしょうか?  全体が黒のサテン素材でできていて、つま先部分にはスワロフスキーが施されているもの。ライトがある場所ではエナメルと同じ効果があり、さりげなく上品に光ります。履くシーンや時間を間違えると靴だけが悪目立ちしてしまうので、バランスのとれたジャケット選びなどでスタイリングを慎重に。ノータイにポケットチーフといった装いが、こなれ感があり程よくカジュアルダウンできるのでお勧めです。こういう遊び心のある靴を見つけるのは難しいので、出会ったらぜひ購入してみてはいかがでしょう? スタイルの幅が広がるはずです。

出典:大人のためのウェディングスタイル 第3回 装いを格上げする靴の選び方  | FORZA STYLE“フ...

■正しい装いの知識を得ることが女性の好感度へつながる。

日本ではウェディングに限らず、装う場において、なぜこの時間に? なぜこの場所で? という知識を持とうという人が少なく感じられます。”デザインが好きだから”という表面的な部分だけではなく、ファッションが、歴史から成り立ち決められていることを理解することが大人の男性の嗜みだと思うのです。これは各々の”知性”にもつながるもの。大人として場にそぐわないものを着ることは、知識がないことを露呈してしまいかねません。 さらにカップルでフォーマルの場に参加する際、それぞれのお洒落の度合いは、男性4に対して女性6の割り合いが理想的とも言われています。男性のお洒落とは、自分をアピールするためのものではなく、同伴する女性を引き立て、心地良くいてもらうために装うもの。 そんな「大人として装いの知識を得ている」男性を増やしたいと思うのがフォルツァスタイルです。皆さん、そんな道理のわかった男性になることを目指しませんか? Photo:Kazuya Gondo Text:Mariko Ikeda Cooperation:HIBIYA PALACE

※本コラムは「FORZA STYLE(フォルツァ スタイル)」との連動企画です。

■「FORZA STYLE(フォルツァ スタイル)」
ファッションディレクター・干場義雅氏責任編集による、知的でセクシーな”知色人”になるためのデジタルビデオマガジン!旬で役立つ、ミドルエイジ男性のためのファッション&ライフスタイル情報を配信します。

出典: 大人のためのウェディングスタイル 第3回 装いを格上げする靴の選び方  | FORZA STYLE“フ...

本記事は、2014年11月27日公開時点の情報です。情報の利用並びにその情報に基づく判断は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮したうえで行っていただくようお願いいたします。

Specialゲストライター

干場義雅
干場義雅
クリエイティブディレクター

FORZA STYLE編集長
1973年東京都生まれ。男性ファッション誌『LEON』や『OCEANS』の立ち上げをはじめ、数々の雑誌編集に携わり、2010年に独立。「スタイルクリニック」を設立する。雑誌、新聞、テレビ、ラジオとメディアの枠を超えて活躍する他、イベントやブランドプロデュースも手がける。

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